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「ターニングポイントは、
この人との出会い」
即答したご夫婦の靱公園ライフ

2021.3.12

「ターニングポイントは、この人との出会い」即答したご夫婦の靱公園ライフ

靱公園のほど近く、ビル一棟をまるごとリノベーションして住んでいる平井達也さん・慶子さんご夫婦。「ターニングポイント」を教えてくれたのは夫の達也さん。19才で出会い、それぞれのブランドで洋服づくりの道を進んできた。靱公園エリアに住むようになって10年以上、お二人の仕事への思い・住まいへの思い、そして靱公園エリアへの思いとは。

「ターニングポイントは、この人との出会い」即答したご夫婦の靱公園ライフ

職住近接で探した自分たちの城。

(ReHOPE)ご夫婦で香港に住まれていたとお聞きしました。

(達也さん)仕事のために3年ほど香港に住んでいました。日本で仕事を始めるために帰国することになり、仕事でなじみのある東京に住むか、地元に近い大阪に住むか迷ったんです。大阪って、小さな都会で生活のすべてを完結させられる集合体だけど、少し足をのばせば自然もありますよね。そんなところが自分たちに合っているなと思って、大阪に住むことに決めました

(ReHOPE)なるほど。では、靱公園エリアに決めた理由は?

(達也さん)帰国して最初に住んでいたのはここではなく、北堀江のマンションでした。15年ほど前に仕事場を京町堀に移転して北堀江の住まいから通っていたのですが、その生活が不便で。どうせなら京町堀で一軒家か、一棟まるごと住まいにできるビルがあればいいね、と話していて見つけたのが今の物件です。

「ターニングポイントは、この人との出会い」即答したご夫婦の靱公園ライフ

ビル一棟をリノベーション、デザイン最優先の住まい。

ワンフロア20坪・4階建で売りに出されていたオフィスビル。
住まいとして変貌しているその内装はかなり個性的だ。

(ReHOPE)デザイン性の高いお家ですが、実際の住み心地はいかがですか?

(達也さん)夫婦ともども、暑さ寒さを感じていたいタイプなんです。最近のお家は床暖房とか機密性を求めるのが当たり前なのかもしれないけど、僕たちには手厚すぎるんですね(笑)。例えば壁一面ガラスにすれば夏は暑いし冬は寒いでしょう、と言われるけど、暑ければ日避けすればいいし、寒ければブランケットをかければいい。そんなふうに暮らすのは当たり前で、僕たちにとってネガティブなことではないから、住んでいて楽しいですよ。

(ReHOPE)ルーフバルコニーにダイニングテーブルが貫通しているところが衝撃です。

(達也さん)びっくりされるんですけど、これでバルコニーも間取りの一部という感覚になれますよね。全部でバルコニーは3箇所あるんですが、バルコニーでの時間も同じように楽しみたいですから。

(ReHOPE)どこを見ても、オーナーに似合う住まいだなという印象を受けます。

(達也さん)更地に建てる注文住宅は自由に作れると言う人が多いでしょうけど、制約のない中で考えるものってとりとめがなくて、自由と言いながら逆に没個性になったりしませんか? 制約のある中で生まれた面白いアイデアが生かされていたり、飾り立てないデザインにしてもらったところが、自分たちに合っているのかなと思います。

「ターニングポイントは、この人との出会い」即答したご夫婦の靱公園ライフ

ものづくりへのリスペクト

さりげない言葉の端々に、ものづくりの観点が垣間見えるお二人。
学生時代からともに洋服づくりの道一筋で歩んできた。

(ReHOPE)お二人とも、洋服づくりへの情熱はずっと変わらないんですか?

(達也さん)お互いに生い立ちが違うので、細かい部分はそれぞれだと思います。ただ今も同じことをしているのは、ものづくりが好きで、生地とミシンがあれば続けられたからでしょうね
(慶子さん)違うことをしてみたいと思ったこともあったし、ちょっとやってみた経験もあります。でもやっぱりこれじゃないってなるんですね
(達也さん)やってみたいと思えばそれなりにこなすことはできるし、自分なりの満足ならできるんです。でも他人に求められるレベルのものにはならない。洋服であれば、シビアな要求に対しても、求められるだけのクオリティーは提示することができる。やっぱり人にはそれぞれ道があるのかなと思います。積み上げてきたものの結果ですが。

「ターニングポイントは、この人との出会い」即答したご夫婦の靱公園ライフ

二人の見る、靱公園のこれから。

謙虚な言葉の後ろに、同じ方向を見て結果を残し、道を拓いてきたという背景が見える。
この街に住んで10年以上、今までとこれからはどのように見えているのだろうか。

(ReHOPE)この辺りに長く住まれて、印象は変わりましたか?

(達也さん)タワーマンションも増えたし、人も増えましたね。でも変わらず好きなところは、都会のど真ん中にあって昭和感があるところ、人情味があるところです。人もオフィスも自然も、雑多に心地よく混ざっている風景もいい。
(慶子さん)人が増えたことで少し騒がしくはなったけど、大きなスーパーができたし、買い物が便利になったのはうれしい(笑)
(達也さん)僕もホームセンタービバホームがあるのはうれしい(笑)

(ReHOPE)この辺りに長く住まれて、印象は変わりましたか?

(達也さん)『ペチカ』さんによく定食を食べに行くよね。店員さんもすごくいい距離感。あまり近くなりすぎることはないけど、心地よい交流があるというか。
(慶子さん)私が一番好きなのは、家の屋上かな(笑)。私専用の場所にしてもらって、土いじりをしています。

(ReHOPE)逆に、これからの街に望むことはありますか?

(達也さん)商店街にあるような惣菜屋さんが近くにできたらうれしいですね。どんな人が作った、選んでくれたとわかるものを買えるお店という意味で。街は確かに変わりつつありますが、人にフォーカスしたお店が淘汰されなければいいなと思う。どうせお金を使うなら『この人のこの商品、サービス』に対して対価を払いたいというのは、住人としてのシンプルな願いです。

物件情報 所在地  :大阪市西区
種別   :中古ビル
面積   :261.30㎡
築年月  :1966年04月
かかった日数 3ヵ月
間取り 4LDK+2WIC
「ターニングポイントは、この人との出会い」即答したご夫婦の靱公園ライフ